聖霊の色は赤?|ペンテコステ〜聖霊の働きに思いを馳せて

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今日は聖霊降臨日、数少ない「聖壇布赤」の主日である。市川教会で用いている赤い聖壇布は、11年前に会堂修復工事完了を記念して購入した聖壇布である。カトリック系の聖具店で、オーダーメイドで赤の聖壇布を注文していた時、店員のシスターに尋ねられた、「赤い聖壇布って、あまり使う時がないでしょう?」と。「そうですね、教会暦では聖霊降臨日と宗教改革日くらいですが、結婚式、就任式等でも使用するので、用いる機会は結構ありますよ」と応えた私に、「宗教改革日ってなんですか?」と再度お尋ね。相互理解が進んでいるとはいえ、ここはカトリック、「破門にしたルター先生を各個教会レベルでは取り上げることはないのだろうなぁ」と認識を新たにした次第。あれから10年、少しは「宗教改革日」を意識してくださってるだろうか?

話しが逸れてしまったが、聖壇布に赤が少ないのは、主日毎のテーマがある教会暦に起因する。教会暦の前半は「キリストの生涯」がテーマとなり、後半は「信仰の成長」がテーマとなるが、赤は聖霊の働きを表す色であって、聖霊がテーマとなるのは、今日の聖霊降臨日(私たちルター派は、冒頭に述べたように宗教改革日の前の主日も赤を用いる)のみだからである。但し、現代の私たちにとっては、教会暦の全てのテーマを理解するのに聖霊の働きは欠かせないのだから、どの主日にも背後には「聖霊を表す赤」が支えていると言えるだろう。

ここで強調しておきたいことがある。それは「赤は聖霊を表す色」であるが、「聖霊が赤い色」という意味ではないということだ。聖霊は私たちに神がなさることを教えてくれる働きをするが、見えるものではないから、聖霊に色はない。しかし、使徒言行録に使徒たちが集まっている所に、イエスが天に昇られる際に約束してくださった聖霊が降る記述があり、「突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった」(2章2〜3節)と記されていることから、聖霊の働きを表す色として「赤」が用いられるだけなのである。聖霊がもたらしてくれるものは、情熱や優しさ、時には穏やかさや冷静さ等、私たちに様々なものをもたらしてくれ、決して固定した色で表わされるものではない。色彩は多方面に影響を及ぼす事が分かって来ている(「色彩心理学」HP:GMO WEB集客ラボ等参照)だけに、「聖霊=赤」という固定観念を外して、聖霊の働きを信じ日々を過ごしていきたい。

とはいえ、聖霊には「情熱の赤」が一番似合う、と私は思ってしまうなぁ…。

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