危機感を共有する 

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東京都に続いて、首都圏3県にも8月末日までの緊急事態宣言(以下宣言)が出される。市川市は今年4月20日以降、まん延防止等重点措置(以下措置)が継続していたので、正直に言えば「あっ、そう!」という感想でしかない。外出を控えマスクを常時着用する生活が変わることはないからだ。何よりも、実は宣言と措置の違いを正しく理解(しようと)していないからかもしれない。

宣言はステージ4(爆発的な感染拡大)の都道府県単位で発令され、事業所へも時短と休業の要請や命令を出せる。措置はステージ3(感染者の急増)の特定のエリアに発令され、事業所へは時短の要請や命令は出せても休業要請は発令しないということだから、私のように殆どが在宅ワークの人間にとって、宣言も措置も全く変わらないということになる。しかし、飲食業の方々や外での仕事を余儀なくされている方々には、大きな影響を及ぼすのかもしれないし、何より医療従事者の方々にとっては、宣言であろうが措置であろうが緊張の日々が続くことは変わらない。繰り返される宣言と措置、「あっ、そう!」という声は、至る所で発せられているのかもしれない。

このような状況に政府対策分科会会長の尾身氏は「今の最大の危機は、社会の中で危機感が共有されていないことだ」と述べておられた。危機感を抱いてもらうための宣言や措置だが、繰り返し発令されたこと、そして感染減少に繋がらないこと等を経験してきた人々には、もはや危機感を共有する有効な手段とはならないということだろう。ではどうしたら危機感を共有できるのだろうか。

「聞け、イスラエルよ」(申命記6章4節等々)と、神に遣わされたイスラエルの預言者たちは、危機に瀕したイスラエルの民に呼び掛け続けた。敵の襲来、神への離反等々、イスラエルは繰り返し危機を経験したことが旧約聖書に記されている。その度に、神は預言者を立て危機に瀕していることを警告し、その上で彼らの先祖の歩み、即ち神の守りと恵みを思い起こさせ、心をひとつにして神に依り頼むことで危機を脱しようと呼び掛かけさせたのである。信頼できるものが何かを指し示してくれる存在がいてこそ、危機を危機として認識し、更には共有して解決の道を歩めるのだと、聖書は私たちに語りかけている。

1年半、私たちが見てきた指導者たちはどうだっただろう。一丸となってコロナ禍で苦しむ人々に向き合うどころか、党利党略を優先させていなかったか。嘆きは深いが、今一度、大切な家族・隣人を思い起こし、危機感を共有してコロナ禍と向き合わねばなるまい!

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