秘密は地下にあり|聖書は地下の私を解放してくれる

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 突然、教会の庭に10㎝ほどの穴が現れた。見つけた瞬間、思わず「懐かしい!」と叫んだ私。20年以上前の一連の出来事が、走馬灯のように頭の中を駆け回った。
 それは突然の事だった。会堂と真間川の間を走っている道路の真間川側が、幅約1m、深さ約1m、長さは10m以上に亘って陥没した。市や県の関係省庁にも現場を調査し、何が原因で陥没したのか明らかにするように依頼を繰り返した。原因調査のために、地盤調査が教会敷地内で二か所行われた。教会周辺はかつて湿地帯であったということもあって、堅い地層は地下7mまで存在しないことが分かった。更に地表から堅い地盤までの間には、会堂背後の丘陵地帯に滲み込んだ水が流れている(伏流水)ことも判明した。その後、地盤調査で掘削した穴を利用し、天候によってどれほど水位が変化するかという調査を半年ほど行った。調査が終了した後、庭の穴には空き缶を蓋にして土で覆ったが、突然現れた穴は、まさに朝晩、雨の日も晴れの日も測った名残り、「懐かしい」と叫んでしまったことも頷(うなず)いていただけることだろう。
 教会の地下にはもう一つ、いつもは隠れているものがある。敷地の以前の持ち主が、陸軍の将校だったこともあって、当時は近所でも有名な「コンクリートで造られた立派な防空壕」(戦時中を知る近所のご老人の感想)がそれである。頑丈であったために、会堂を建てる際にそのまま土台として利用されたようで、現在も残っている(ただし前述の伏流水が滲み込み常に水深が1m弱あるために利用できない)集会室の真下にそれがあり、会衆席や聖壇部分にはない。その結果、軟弱な地盤の上に建つ会堂は徐々に傾斜し、私が赴任した頃、45年を経過していた会堂は数センチの傾斜が出来ていた。「このまま倒れるのを待つしかないのか」と悶々とする中で、登録有形文化財となり、2012年修復し現在に至っている。伏流水、防空壕跡、私たちの教会の地下の秘密にしっかりと知り向き合うことが、会堂の未来に繋がっているのだと、再び現れた「穴」を見詰めながら思いを深くしている。
 「あなたがたは、人に自分の正しさを見せびらかすが、神はあなたがたの心をご存じである。」(ルカ16:15)状況の詳述は避けるが、見た目の立派さを競う指導者たちへの痛烈な批判である。宣べ伝えられる福音は、私たちの心(地下)に届き、奥底にあって私たちを虜(とりこ)にしているものを、神はご存じである。私たちの地下に蠢(うごめ)く秘密を、神は解放しようと今も福音を、多くの人を通して宣べ伝えておられるのである。
 会堂を守るために、今後も地下にある秘密と向き合うことは必定だろうなぁ。

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