クリスマスの天使は忙しい

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「おめでとう、恵まれた方(マリア)!」、天使が告げるこの言葉から、子どもたちが演じてくれる降誕劇は始まる。この天使の名前はガブリエル。これより少し前、ガブリエル天使は、祭司ザカリアが聖所で香を焚(た)く務め(生涯に一度だけ)の時にも現れ、「妻エリザベトに子どもが生まれること、その子の名前をヨハネ(後の洗礼者ヨハネ)と名付けるように」と告げている。この場面は子どもたちの降誕劇には登場しない。同様にあまり取り上げられないが、夫となるヨセフにも、「いいなずけのマリアが身ごもったが恐れず迎え入れるように」と、夢の中に主の使いが現れ告げる。この主の使いもガブリエルだったかもしれない。

さて、野原にいた羊飼いたちにも天使が近づき、大きな喜びである救い主の誕生を告げる。さらに天の大軍が加わり「いと高きところには神の栄光!」と高らかに賛美する。天使たちで埋め尽くされた夜空は、壮観だったことだろう。その夜空に輝く星に導かれてやってきたのは博士たち。黄金(王位の象徴)・乳香(祈りの象徴)・没薬(死の象徴)を生まれたばかりのイエスに献げた後、「ヘロデ王のところに報告に行ってはいけない」と夢でお告げを聞いたので、別の道から自分たちの国に帰っていく。ここにも夢の中に天使が現れて告げたということではないか。

聖書の中には天使・主の使いの存在が記されている。しかし、その名前まで記されているのは、ガブリエルとミカエル(ダニエル書8:13)のみである。続編のトビト記にはラファエル、という名の天使が登場するが、ほとんどは名前が記されない。天使は神のみ前に立つ者、神に遣わされる存在(ルカ1:19)であって、拝む対象ではないので名前を告げる必要がないということだろう。黙示録にも「また見たとき、わたしは、このことを示してくれた天使の足もとにひれ伏して、拝もうとした。すると、天使はわたしに言った。『やめよ。わたしは、あなたや、あなたの兄弟である預言者たちや、この書物の言葉を守っている人たちと共に、仕える者である。神を礼拝せよ。』」(2:8〜9)と記されているからである。天使たちはクリスマスという嬉しい出来事に沢山登場することに思いを馳せると、私たちが喜びに包まれる時、気付かないけれど天使も一緒に居てくれるのではなかろうか。

今年も教会で保育園の降誕劇が行われた。たくさん練習してきたのだろう、お家の人たちに素敵な姿をみせてくれた子どもたち。あの子たちもまさに天使であったと思えてならない。世界中で祝われるクリスマス。天使たちはさぞ忙しいことだろう。

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