心の引き出し|心にふしぎの住める空間を

(141)

流石に10回以上のクリスマス会(リハーサルを含む)となると、クリスマスに関する私の頭の中の引き出しは枯渇する。引き出しに入っているのは「クリスマスのお話諸々」だ。毎年毎回異なった話しをすることは、私の能力では不可能だから、参加者の顔ぶれを頭に入れた上で、引き出しを取っ替え引っ替えし、少し工夫を加えて話しをする。それを可能とするのも、現任地で24年という経験が引き出しを増やし、それを大きくしてくれたからだと感謝している。

「心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。(松岡享子)子どもにサンタクロースの話をするのは、『見えないものを信じる』能力(キャパシティ)を養うためだと、児童文学者は言う。サンタの話を聞いた子の中には、サンタがいなくなってもサンタのいた空間は残る。『ふしぎの住める』この空間は、『のちに、いちばん崇高なものを宿すかもしれぬ』そんな心の場所なのだと。」(『サンタクロースの部屋』から。2023.12.25.朝日新聞「折々のことば」より)どんな話をしようかということで頭の中が一杯になるクリスマスの時、聞いてくれる皆さんのことを考えない訳ではない。でもそれが「サンタクロースの住むふしぎな空間」を作るお手伝いをしていたということまでは想像できなかった。2保育園、2母子生活支援施設トータルで4、5千人の方にクリスマスメッセージを届けてきたことになるが、聖書が告げるクリスマスの出来事、そしてそれにまつわる様々なことを、「ふしぎの住める空間」あるいは「引き出し」として、心の中に作ってくださっていれば嬉しいが・・・、さて?

「青春の日々にこそ、お前の創造主に心を留めよ。苦しみの日々が来ないうちに。『年を重ねることに喜びはない』と言う年齢にならないうちに。」(コヘレトの言葉12:1)太陽の下に起こるすべてのものに空しさを見出した伝道者が、心に「神というふしぎの住める空間」を作ることによって光ある人生を生きることができると告げている珠玉の書である。コヘレトの言葉も、そしてクリスマスの出来事も、全ての人々に「神というふしぎの住める空間」を与えようとしているのである。それがやがて「いちばん崇高なものを宿し、その人を支えるものになってくれることを祈っていきたい。

今年のクリスマスも1月6日をもって終わる。さて、今から次のクリスマスのために、引き出しを増やしておくとするかな。