思いを込めて

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たくさんの人が観光に、帰省にと出掛けた様子が繰り返し報道された今年の連休。3年振りに行動制限が解除されて迎えたのだから、「どこでも良いから出かけよう」という気持ちに背を押されたことだろう。映し出される人々の顔は、マスク越しとはいえ笑顔が見えるようであった。「コロナ禍による生活の変化は、自覚しづらい疲労、すなわち『ステルス疲労』が溜まっていくことがある。テレワーク、オンラインの会議、繰り返された緊急事態宣言、マスク・消毒の徹底、感染への気遣い等々、変化の連続が自覚しづらい『ステルス疲労』となって溜まっている。先行きの見えない不安や我慢、気遣い、みんな同じ辛さを抱えているというプレッシャー、雑談の減少と数え上げればきりがない。それが『うつ』症状の原因にもなる。対処のためには、休む、不安情報から離れる、体を動かすということが大切である。」(HP東洋経済:メンタルレスキュー協会理事長下園壮太氏の分析参照)多くの方は混雑して大変だろうと思いつつも、「多少の混雑よりも、元気を取り戻したい」という思いを込めて外出されたことだろう。だからだろう、笑顔の人々のニュースは私の心も明るくしてくれたようだった。

「王国は正義と恵みの業によって/今もそしてとこしえに、立てられ支えられる。万軍の主の熱意がこれを成し遂げる。」(イザヤ9:6)国を支えているのは神の熱意、これが数々の困難に遭遇してもイスラエルの民を支えてきたもの、すなわち信仰であった。現代の教会も変わらない、神の熱意こそが支である。たとえどんなに多彩な活動、華々しい業がなされても、神の深い思いからくる熱意がなければ成り立たない。

清々しい青空の下、4月30日に3年ぶりの第五土曜コンサート(4月24日のこの欄に記載)が開催された。4人の若手プロによる息の合った弦楽四重奏の音色、感染予防対策をきちんと受け止めつつ最後まで惜しみない拍手をくださった来場者、この日のために祈りつつ準備してくださった教会員、一人ひとりが神の深い思いに包まれて、素晴らしいひと時を過ごせた。そしてアンコールに応えて選んでくださったカタルーニャ民謡の「鳥の歌」(奏者のお一人が編曲してくださった)に、深い思いを込めて私たちに注いでくださる神の熱意に包まれるようだった。皆さんに感謝!

アンコールの曲は教会facebookにアップしてあります。
〈カタルーニャ民謡「鳥の歌」(日本ルーテル市川教会Facebook)〉

そういえば今日は母の日、亡き母への感謝の思いを込めて、この日を過ごしたい。