グレーゾーン

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オリンピックは閉会したが、その一方、コロナ感染者は増加の一途である。関連について担当大臣は「感染拡大にはつながっていない」(8月10日NHK WEB)と早々と認識を示しているが、感染して症状が出るまでに日数を要することを考えると、閉幕して二日後に認識を示すのはいかがなものだろう。早急に認識を示したかったのは24日からのパラリンピックを意識してのことだろうが、国民のことについては置き去りにされたままという感は否めない。コロナ禍中の1年半、その感覚がずっと続いているのは私だけではない筈だ。

COVID-19は私たち人類には未知の存在であって、未だに混乱の只中に置かれ続けている。それでも不完全ではあるがワクチンも開発されている。治療法(対処の仕方)は徐々に明らかにされつつも、各々の症状に対応できる完全な治療薬が開発されるには未だ時間が必要だろう。今後も変異し続けるのかも分からず、未だにグレーゾーン、即ちはっきりしない状態にあるのがこのウィルスといえる。昨年の第一波の時に、専門家は「秋・冬の感染拡大」を警告していたし、今年になると新型による感染拡大の警鐘が鳴らされていた。それに対する対策はどうだっただろう。強制力のある対応を取れないという国の事情はあるとしても、「ワクチンができれば…。人流さえ押さえられれば…。」と同じことの繰り返しで、医療体制の緊急整備や生活保障の促進など、最悪を想定した対策を取ろうとしてこなかったのではないか。つまり対策もまたずっと「グレーゾーンのままだった」と言えなくもない。

だが、グレーゾーンの存在が常に悪いという訳ではない。神は人間を創造された後、エデンの園の中央に命の木と善悪の知識の木を生えいでさせ次のように言われた、「園のすべての木から取って食べなさい。ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう」と。(創世記2章)人を創り、人を活かそうとされた神ならば、何故「食べてはならない」物を造られたのかと思うが、善悪の知識の木は、神が人に信頼の徴としておかれたものであり、委ねられた「グレーゾーン」であった。残念ながら人は委ねられたものを自分のために用いようとして死を招き入れ、エデンの園を追放されてしまったのだ。委ねられた「グレーゾーン」にどのように向き合っていくかが、どのような時代においても問われ続けているのではなかろうか。

今のところコロナ対策に「正解」は見つかっていない。だとしたら、国会を開会するなりして、与野党の党利党略を捨てて「グレーゾーン」と向き合って欲しいものだが。

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