はじめに ー 聖書はどのような本か

 *本書で用いた聖書はすべて日本聖書協会刊行の「新共同訳聖書」による。同聖書はカトリック、プロテスタント両教会が共同で翻訳し、現在多くの教会で使用されている。

 

はじめに 聖書とは、どんな本か

 聖書というとわたしたちはすぐに新約聖書を思い浮かべる方も多いでしょう。なぜかというと、イエス・キリストというお方の名が出て来るのは新約聖書だからです。でも、聖書は新約聖書だけではなくて、旧約聖書もあるのです。新約とは、新しい約束という言葉でイエス・キリストがおいでになって人間と神の間に新しい関係が生まれたことを意味し、それにたいして旧約とは、古い約束という意味で、イエス・キリスト以前の人間と神の間にどのような関係があったかを意味しているのです。

 でも、これだけではよく分かりませんね。そこで、これから、すこしづつ新しい人間と神の関係、そしてキリスト以前の古い関係についてお話することにしましょう。

 キリストがおいでになる前の古い神と人間の関係とはどんなことかを知るためには、旧約聖書には、どのようなことが書かれているかを、あらかじめ知っておくとよいでしょう。その前に旧約聖書とは一冊の本のように見えますが、じつは別々に書かれた文書からできていて、それらを一冊の本に編纂したものなのです。新約聖書も別々の書をまとめたものです。旧約聖書には39巻の文書があり、新約には27の文書があります。合わせて66巻の文書から成り立っています。通常、さんくにじゅうしち(3×9=27)と覚えておくと便利ですよ。