寝てて大丈夫|寝ることは天国への近道?

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先月末、半年ぶりに「第五土曜コンサート」が行われた。好天もあって開演の頃には、60名ほどの方々が来てくださった。演奏者の楽しいおしゃべりもあり、2時間程のコンサートはあっという間に過ぎていく。「次も楽しみにしています」と帰り際に言葉をかけてくださる方も多く、地元で行われるコンサートとして受け入れてくださっていることを実感する。とはいえ素敵な2時間は、沢山の方々の協力をいただかなければ実施できないのは言うまでもない。始めた頃は当日を除いて準備の殆どが牧師の仕事であったこともあって、コンサート当日はホッとしてウトウトすることも…。しかし最近、私が関わるのはコンサート当日の会場作りと進行役程度。多くの協力を頂けるようになって、コンサートの音色に聞き入ることもできるようになり、今では気持ち良くて時折ウトウト。(アッ、これはナイショということで!)

教会のコンサートから2日後、弦楽四重奏のコンサートに出かけた。会員のお孫さんであるビオラ奏者の女性からのご案内があったからだが、彼女は小学校高学年の頃から高校を卒業するまで教会学校礼拝の奏楽を担ってくれた。今はプロとして活躍しているので、どんな音楽を聴かせてくれるのかと楽しみに出掛けた次第。開演まで頂いたプログラムに目を通す。若い人たちのコンサートだけに、字が小さい。何とか焦点を合わせて読み進めていたら、いきなり最初の曲の解説に「この作品が好きになれなかったら、後は全部寝てて大丈夫です」と。次の曲の解説には「テーマが好きになれなかったら二度寝して大丈夫です」と畳みかけるように「寝る事」にお墨付きが。寝てしまう程にたいくつなのか、それとも観客を寝せない自信があるのか、他の曲の解説には「早いテンポだと即興演奏みたいになって格好いいのだが、私たちはクラシック音楽家なのでオールドスタイルで臨みたい」とあったので、「これは観客を意識せず自分たちの音楽を楽しみたい」と私なりに理解した。3曲9楽章の演奏であったが、息の合った素晴らしい演奏に聞き入り、寝る暇もなかったのは言うまでもない。

「ビールを飲むものはすぐに寝てしまう、寝ている時間は罪を犯さない、罪を犯さないものは天国にいける。だから我々にビールを。」と語ったのはルターであるが、コンサートで寝ることも案外天国への近道かもしれない。だからあの「寝てて大丈夫」というフレーズは、「私たちの音楽で、今夜ひと晩、天国にいる気分になれる。だからコンサートへどうぞ。」というメッセージだったのかもしれない。