聖書における人の創造② 神にかたどって

「神は御自分にかたどって人を創造された」
創世記 1章 27節

聖書は、世界や人間を捕らえて表現するすべての事象の背後に意味や価値を表すメッセージをもっています。

人間を理解するにあたっても、聖書は人間とは何かを問いたかったのです。明らかに人はどこか自然の動植物とちがう。そのちがいはなにか。その素朴な疑問が人は神のかたちに似せて造られたという表現を取らせました。神のかたちという表現についてはさまざまな解釈があります。動物に対する人間の支配を意味する、あるいは神の主権の代理のしるし、さらに発展して、神に対する応答性だとか、なんらかの神の一部分であるとか、理性や自由意志のような高い精神性を表すなどさまざまに意見があります。

要は、人間という存在は、尊いのだということなのです。おそらく古代人は自らを取りまく自然世界と一線を画した自己の存在に気づいたのでしょう。人の存在が尊いということは自明のことであって、言われなくても分かつていることだと人は言うかもしれません。

しかし、人の存在が尊いと認識することは言われてみてはじめてそうだとうなずくことです。そういう意味からするとこの聖書の言葉は、あらためて自己や他者の存在の尊さに目を向けることを促すのです。