ルターとバッハは同窓生!

ルターとバッハは同窓生!

ゲオルク教会のすぐ傍にはゲオルク学校がある。教会立のギムナジウムと呼ばれる学校で、大学入学資格を得られる伝統をもつ学校である。旧東ドイツの時代には共産党の政府はなんとかしてこのキリスト教ギムナジウムを潰そうとしたが、教会が手だてを尽くして守り抜いたという現代史の生々しい一端を担っている。

宗教改革者マルティン・ルターと我らのバッハは200年を隔ててこの学校の同窓生である。教会と学校から少し歩いたところに、ルターがこの町で寄宿していたと言われる家も残っている。この地方独特の木組みの美しい建物で、今はルター記念館となっているが、その屋根裏の小さな部屋二つが少年ルターの部屋だったと伝わる。今は「コッタ夫人の家」としても知られるが、この家でルターは情操豊かで、信仰深い生活に触れたと言われている。その先の細い道を進むと広場に出るが、そこにはバッハの銅像があり、「バッハの家」と呼ばれる建物もあって「バッハ記念館」となっているが、実際にバッハがここに住んだのではないようだ。ここに至る道の片側に軒を連ねて立つ民家のひとつには小さく「ヨハン・セバスティアン・バッハ誕生の家」と案内板がある。この誕生の後で一家は現在「バッハの家」と言われている奥にあった、いささか広い家に移ったようだ。代々音楽一家となっていたバッハ家で、我らのバッハの父も町の音楽師のひとり、一家の兄弟たちもまたみな音楽家に育っていった。