ルーテルアワー聖書通信講座 人生の悩みに答えるキリスト教入門

dreamstimefree_62168Q 人には言えないような大きな問題を抱えて、毎日過ごしています。気の晴れない重たいものが、何時もこころの中を占めていて、一向に晴れやかな気持ちになれません。問題を抱えたまま一生を過ごすのかと思うと情けなくなるばかりです。

A 自閉症の子どもさんをもったひとりのお母さんに会ったことがありました。「私はこの子といっしょになんど死のうと思ったか分かりません」とつくづく言われたことを思い出します。このお母さんは自閉症児のための小規模通園施設に子どもさんを連れて通っておいででした。子どもたちが訓練を受けている間、施設の一角でお母さんたちの話を聞くのが私の役目でしたが、このお母さんは一年ほど経ったころ、こう言われるのです。

「だんだん私の気持ちが変わるのがよく分かります。最初の頃はほんとうにどうしようかと思っていたのですが、そのうちこの子のために私が元気でいなければと思うようになり、近頃では、この子のおかげでほかの人には見ることのできない世界を見ることができます。それを思えばこの子がいるおかげなんですね」。

子どもさんが自閉症であることは変わりません。しかしその自閉症の子どもさんがいるのでちがう世界を見ることができるようになったとはなんと素晴らしい価値の転換でしょう。

誰にでもたやすくこのお母さんのような気持ちの転換が起こるとは思いませんが、物事は視点を変えれば、どのような苦しみも豊かな価値をそのなかにもっているというよい実例です。

オーストリアの精神科医でビクトル・フランクルという人がいます。この人は「人は意味なくして生きることはできない」と言います。彼は第二次世界大戦のとき、ユダヤ人であったため強制収容所に入れられ、過酷な生活を強いられました。彼はその経験を通し、絶望的な状況であってもその中に意味をそこに見出した人たちは希望と勇気を失うことなく生き抜いたことを発見しました。それが、名著「夜と霧」を書くきっかけをつくったのでした。その本には、どうすれば人は置かれた状況の中に意味を発見するかが書かれています。ぜひ、一度目を通してください。

このお母さんもご自分のお子さんが自閉症という障がいを持って生まれたことの中に意味を発見して、そこから新しい自分の生き方を得たのです。

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