ルーテルアワー聖書通信講座 人生の悩みに答えるキリスト教入門

hana4Q 人前に出るのが苦手で、学校には行っているのですが、なるべく人と顔を合わせないように、授業が終わると逃げるようにに帰ります。他人と話しているとだんだん息苦しくなってくるからです。これでは、いけないと思っているのですが、ひとりのほうが気が休まるのです。

A 自分でも辛いと思うことをしてしまう自分を見るともっと辛くなってしまうかもしれませんね。でも、あなたが自分のことを勇気を持って話してくださったことに敬意を払います。

神経症の治療に有効とされる心理療法のひとつに森田正馬(まさたけ)(精神医学者)が提唱した森田療法があります。この森田療法には絶対臥褥(床につくこと)の期間を過ごすことが求められますが、この間禁酒禁煙はもちろん話をすることも、人と会うことも、本を読むことも禁じられます。沈黙の世界に自らをひとり置いてみることによって、外界との接触を断ち、自己の想念の整理、没我の境地へと導き、自己への洞察を得ようとするものです。社会のなかであれこれと雑事を抱えて思い悩むよりもいっそのこと思い切ってなにもしないほうが新しい自己への道が開けるというわけです。それこそ積極的な沈黙の世界の選択です。

バリバリと社会のなかで働くことが求められるこの時代にあっては、ひとりの世界、沈黙の世界は、仕方なく追い込まれてゆく最後の逃げ場のように扱われます。あたかも敗北者、落伍者のように世間は見るでしょう。自分でもそう思うかもしれません。しかしひとり沈黙の世界は、見方を変えれば森田療法のように新しい自己発見の場を提供する世界でもあるのです。世のなかには仕方なくひとり座し、他者との接触を断ち、沈黙の世界に逃げ込まざるを得なかった人もいることでしょう。もしそうなら思い切ってその世界を与えられた機会として自らのものとしてはどうでしょうか。仕方なく選択しなければならなかった世界ではなくて、そこだけが新しい自己の発見の場であり、そこでしか新しい人生の選択の道は発見できないのだ、と自分に言い聞かせることからそれは可能になるでしょう。

あなたは今自分に向かって「私は今ひとりでいることを選び取っているのだ」と言い聞かせる、よい機会かもしれませんね。そこから、新しい何事かが起こることを祈ります。

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